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言葉

2011年04月08日
どれほどの言葉で表現しても完全に伝えられないということは、世の中のほとんどの人間が知り及んでいる。
しかしそれを分かっていながらも、私たち人間はいつまでも試行錯誤し、その度に落胆している。
愛を伝えられない。
憎しみを伝えられない。
感謝を伝えられない。
書き上げればキリがない。
否、これほど多様化した言葉で以てしても、感情を箇条書きにすることすら出来ない。
人間が普く一人につき一つの脳を持っている限り、感情を共有することは叶わないのだろう。
私はその事を一般的な大衆と同じようにしっかりと分かっていて、一般的な大衆も私と同じであると思っている。
だが彼らと私の圧倒的な差は、それらを踏まえながらも人を愛せるか否かという点だ。
彼らは言葉では伝えられないと口では言いながら、それでも人を愛することに意義を見出し、人から愛されることに幸福を感じている。少なくとも私にはそう見える。
私にはそこが分からない。
考えていることを完全に理解できない相手を、どうして愛せるのか。
愛されていると、何故確信できるのか。
メディアによれば、人を愛せば分かるらしい。本末転倒だ。
書籍によれば、人間不信の部類らしい。脳内を覗き見ることでもしない限り、私のそれは治らないんだろう。
医師によれば、恋愛嫌悪症らしい。私は嫌悪しているのではなく、ただ理解出来ないだけなのだが。
一目惚れの原理が分からないわけではない。悪人であっても情が沸くことだってあるだろう。
ただ、私はそういった突発的あるいは怠惰的な環境に感情が流されにくい体質であり、理解ができたところで何も変わらず人を疑い続ける。
たったそれだけのことだ。

新しい言葉は日々生まれ、表現の幅は広がり続けている。
いつかすべての感情を表現できるようになったならば、そしてそれを誰しもが自力で扱えるようになったとしたら、私は誰かを愛することが出来るのだろうか。
その予測も出来ぬ未来に対する羨望と不安の入り交じったような感情を、私はうまく表現できない。


雨が私を拐かす

2011年03月21日
雨が降っています。
高密度な湿気によって生まれたもやは、私の視界をぼやけさせています。
車が水たまりを踏み砕き、街灯に照らされ艶やかに光るコンクリートは一層輝きを増しました。
ばらばらと落ちる水滴が地表と混じり合う音で私の呼吸音は私にすら聞こえません。
こうして途方もなく雨が降る夜、私は私自身の存在を見失いそうになります。
私という存在が跡形もなく消え去るなど不可能だと思っていても、それすら疑わしくなり、私は誰かに会いたくなるのです。
だから、私は雨が嫌いです。
人の暖かさを思い出させる雨が、大嫌いです。



2011年03月19日

砂丘の中に放った一粒の砂を、あなたは見つけられないでしょう。
よくよく目を凝らせば違うことは分かるけれど、それは些末な違いでしかありません。
途方もない数の粒子は纏まって、まるで大きな物体のような錯覚を生みながらも、表面の砂粒はさらさらと動いています。
この無量大数の粒等と、我々人間になんの違いがありましょうか。
砂丘のように細々としたものの集まりの中から、私を見つけるなど可能でしょうか。
偶然近くに流れてきた粒を愛し、それを運命だと賛美し、端から見れば何も変わらないというのに、ささやかな風で表面が流されただけで一喜一憂を繰り返します。
私は砂丘に埋もれた一粒の砂でしかなく、私がどれほど大きく手を振っても、それは吐息ほどの風にもなりません。
ほんのひとつまみ程度の砂粒の中で権威を振りかざしたところで、結局は何も変わらないのです。

砂丘の中に放った一粒の砂を、あなたは見つけられないでしょう。
私があなたを見つけられないように。

美しき人

2011年03月19日
美しき人が、そこに居た。
男は息を飲み、女は舐めるようにその体躯を見つめる。
美しき人は、ふと目線を上げた。
男はその視線を追い、女は隠れていたうなじに目をやった。
美しき人は、ゆっくりと立ち去った。
男はシノプスに刻みつけた残像を愛で、女は一瞬の動作の粗にほくそ笑んだ。
美しき人が、そこに居た。
男は一日を幸せだと錯覚し、女は自分よりも下劣な女を探した。

相容れぬ原因は、性別だろうか。
相容れぬ原因は、価値観だろうか。
私は人間ほど面白い生物に、未だかつて出会ったことがない。

この地震で大変な時に!と怒られそうなタイミングでサイトを作ってみました。
不謹慎にも程がありますよねー。
しかし、ずっと地面が揺れてる感じがして眠れないのと、
明日居なくなっても何か残せないかな、という理由が重なって、居ても立ってもいられなくなったのです。
節電区域とはかけ離れた場所に住んでるので、電気方面はきっと大丈夫。だと思います。

前々から詩サイトは作りたかったので、地震で踏ん切りがついたといった感じです。
寝付きが異様に悪いので、基本更新は夜になると思われます。

作成、更新を全て窓さんのスマフォンにて行っているので、もし何か不具合などがあった場合には、お問い合わせフォームか掲示板にてご報告いただけますと幸いです。

では、最後になりましたが、サイト運営も詩を書くこともズブの素人の私ですが、
何卒よろしくお願いいたします。

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